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アトピー性皮膚炎の全身療法 ~4.デュピクセント注射について~
ゴールデンウィークも終わり、
強い日差しに汗ばむことも多くなりました。
木々の枝葉が伸びて青葉の色が次第に濃くなり、
それを食べる毛虫やその他の虫たちも
”五分の魂”を謳歌するかのように、
徐々に勢いを増してきます。
たかが虫刺され、されど虫刺されです。
お出かけの際にはお気を付け下さいね。
アトピー性皮膚炎の治療のための注射薬デュピクセント
夏に悪化するアトピーの方も多くおられます。
以前、アトピー性皮膚炎の全身療法について、
まとめたことがあります。
それぞれ有効な治療ですが、一長一短があり、
何より、効果は一時的なことが多く、
治療を中止すると速やかに再燃することが多い、
ということが難点でした。
この春から登場したアトピー性皮膚炎の治療のための注射薬、
デュピクセント。
デュピクセントを用いたアトピー性皮膚炎の治療は当院でも行っています
15歳以上で、
いままでの治療で十分の効果が得られなかった患者さんが、
この薬を使うことで、症状の改善が大きく期待できます。
デュピクセントを用いたアトピー性皮膚炎の治療は、
当院でも行っています。
「注射したその日から、かゆみがなくなった」
といわれた患者さんも多いです。
初回では効果の感じにくかった方でも、
数回注射する間に、徐々に効果が現われてきています。
(効果が感じられなくても4か月までは注射を継続することが推奨されています。)
アトピー性皮膚炎の機序のより根本に近いところで症状を抑えることから、
より根治に近いコントロールが期待できます。
![](https://www.fujita-hifuka.jp/wp-content/uploads/2024/01/2019-06.webp)
デュピクセントのデメリットは高価な点
しかしながら、大きな問題点があります。
非常に高価なことです。
3割負担の方で
一本 約24,000 円
という、自己負担額を支払う必要があります。
ですが、自己注射も可能となり、
自宅注射用も含めて複数本購入すれば高額医療の適応となりますので、
限度額以上の支払いはありません。
一定の期間投与を継続すれば症状の再燃がなかった事例もある
まだ定説ではありませんが、
例えば10か月といった一定の期間、投与を継続すれば、
投与を中止しても約2年間、塗り薬も飲み薬も使うことなく、
症状の再燃がなかった、という先生もおられます。
素晴らしい新薬の登場で、その恩恵に与る人は多いと思われます。
慢性的にアトピー性皮膚炎に悩まされている人は、
とても損をしています。
皮膚が分厚くなるために、強面(こわもて)に見られたり、
実際の年齢より更けて見られたりすることがあります。
痒さのため睡眠不足でパフォーマンスが下がり、
昇進に差し障ったりすることもあるでしょう
実際、引きこもってしまったりする人もあるので、
アトピー性皮膚炎による経済的損失は4690億円/月
アトピー性皮膚炎による経済的損失は4690億円/月ともいわれています。
4か月で20万円、10か月で50万円を高いとみるか安いとみるかですが、
注射した人の生活の質が大きく変わるのなら、
プラズマテレビが飛ぶように売れるこのご時世、
決して高い買い物ではないと思いませんか?
今までの治療でうまくいかなかった方は、
ぜひ一度ご検討なさることをお勧めします。
全国の皮膚科専門医は、
アトピー性皮膚炎の患者さんの人生を、
喜んでバックアップします!